tanabata





七月七日 雨のち曇り

旅から戻ると、朝顔が咲いていた。
さみどりの蔓は、鉢に挿した竹ひごでは飽きたらず、
かたわらに繁る丈高い笹を這いあがり、ぽつぽつと青い花を咲かせている。
じきに日暮れという時刻であるのに、いっこうに萎む気配もない。

しばし茫然と眺めていると、裏木戸からこいびとがやってきて、
咲きましたね、と、しごく満足そうに言う。
よかった、七夕に間に合って。


そういえば、笹に咲く青い花は、どこか七夕飾りのようでもある。
あいにくの空模様ではあるけれど、これはこれでなかなかのもの。
そう思い、花のひとつひとつに目を懲らすと、
ひときわ大きな花の中で、獏が寝ていた。
筒のような窪みにすっぽりと収まって、さやさやと風に揺れている。

縁側でこいびととふたり、素麺をすする。
彼の地で太うどんを買ったはずなのだが、
帰ってきたら極細の素麺になっていたのだった。
あちらとこちらでは、何かが違っているらしい。

きっと彼の地は、今宵も晴れているのだろう。



---------------- 8×キリトリセン ----------------


んー。

旅のあいだの「うそ日記」をアップしてから、と思ったのだけど、

日付がどんどんずれていくので、

先に「七夕」を(汗)

旅うそ日記、は、また後からアップするかも、です。


写真は、旅先の琴平で撮ったもの。

いや、しかし。

せかいせいふく、って。